なぜ帯広・十勝で農業保険が必要なのか?
広大な大地と豊かな自然に恵まれた十勝地方は、日本の食料基地として重要な役割を担っています。畑作、酪農、畜産など、多様な農業が展開されていますが、同時に様々な経営リスクも存在します。農業保険は、これらのリスクから経営を守り、持続可能な農業を実現するための大切な備えとなります。
十勝農業が直面する様々なリスク
帯広市、足寄町をはじめとする十勝地方の農業経営者は、以下のようなリスクに常に直面しています。
- 自然災害リスク: 台風による強風や大雨、ゲリラ豪雨による水害、低温・日照不足による冷害、干ばつ、冬期の積雪・凍霜害など、十勝特有の気象条件によるリスクがあります。特に火山灰土壌(黒ボク土)は排水性が課題となることもあり、湿害のリスクも考慮が必要です。また、地震による被害(2018年の胆振東部地震では停電も発生)も忘れてはなりません。
- 価格変動リスク: 豊作による価格下落や、市場の需給バランスの変化、為替変動(輸出入に関連する場合)など、市場価格の変動が経営収入に影響を与えるリスクがあります。
- 病虫害・鳥獣害リスク: 作物の病気や害虫の発生、エゾシカなどによる鳥獣被害も、収穫量や品質に影響を与える可能性があります。
- 家畜の疾病・事故リスク: 酪農・畜産においては、家畜の病気やケガ、死亡・廃用といったリスクが常に伴います。
- その他のリスク: 火災による建物や農機具の損害、作業中の事故、燃料や資材価格の高騰なども経営に影響を与える可能性があります。

安定経営のためのセーフティネット
これらのリスクは、経営努力だけでは避けられない場合があります。万が一、大きな損害が発生した場合、経営の継続が困難になることも考えられます。農業保険は、このような不測の事態に備え、損失を補填し、経営の安定化を図るための重要なセーフティネットです。国からの掛金補助など、公的な支援が受けられる制度もあり、多くの農業経営者にとって不可欠な備えとなっています。
農業保険の主な種類を知ろう
農業経営者を支える保険には、国の公的な制度である「収入保険」と「農業共済(NOSAI)」が中心となります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の経営に合ったものを選ぶことが大切です。
収入保険:幅広いリスクに対応
収入保険は、品目の枠にとらわれず、農業経営全体の収入減少を補填する比較的新しい制度です。
- 対象者:青色申告を行っている農業者(個人・法人)が対象です。
- 補償範囲:自然災害による収量減少だけでなく、市場価格の下落や、経営者の病気・ケガによる収入減など、農業者の経営努力では避けられない様々な要因による収入減少が補償の対象となります。
- 仕組み:過去の収入を基にした基準収入に対し、当年の収入が一定割合以上減少した場合に、その差額の一部が補填されます。保険方式と積立方式があります。
収入保険は、複数の品目を栽培している場合や、価格変動リスクが大きい品目を扱っている場合に特に有効な選択肢となり得ます。ただし、加入には青色申告の実績が必要です。
農業共済(NOSAI):災害による損失補填が中心
農業共済(NOSAI)は、古くからある農業災害対策の基幹制度であり、農業保険法に基づく公的な保険制度です。自然災害等による物的な損失(収量減少や品質低下、家畜の死亡、施設の損壊など)を主に補償します。主な共済事業には以下のようなものがあります。
農作物共済・畑作物共済
水稲、麦、大豆、てんさい、ばれいしょ、小豆、たまねぎ、かぼちゃなど、主要な作物を対象とし、台風、干ばつ、冷害、病虫害などの自然災害による収量減少や品質低下による損害を補償します。加入方式や補償割合は品目や地域によって異なります。収入保険と選択加入になる場合があります。
家畜共済
牛(乳用牛・肉用牛)、馬、豚などを対象とし、死亡、廃用、病気、ケガによる損害を補償します。原則として全頭加入(包括共済)が基本です。
園芸施設共済
農業用ハウス(ビニールハウス等)とその附帯施設、施設内で栽培される作物を対象とし、風水害、雪害、ひょう害、火災などによる損害を補償します。
建物共済・農機具共済(任意共済)
上記の他に、任意で加入できる共済として、農業用の建物(畜舎、倉庫など)や農機具(トラクター、コンバインなど)を対象としたものがあります。火災や自然災害による損害を補償します。
農業共済(NOSAI)は、特定の作物や家畜、施設のリスクにピンポイントで備えたい場合に有効です。多くの事業で掛金の一部が国によって補助されます。NOSAI北海道(北海道農業共済組合)が地域の窓口となります。
民間の保険会社の農業関連保険
上記の公的な制度に加え、民間の損害保険会社でも、農業経営者向けの賠償責任保険(施設や業務遂行に起因する対人・対物事故への備え)、傷害保険(経営者や従業員のケガへの備え)、火災保険(住居兼事務所など)などを提供しています。これらは公的保険を補完する役割を果たします。
例えば、ドローンを農業利用(農薬散布や生育調査など)する場合の機体の破損や賠償事故に備える保険もあります。
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経営に合った農業保険の選び方
収入保険や農業共済など、様々な選択肢の中から、ご自身の経営に最適な保険を選ぶためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
1. 自身の経営リスクを把握する
まずは、ご自身の農業経営における最大のリスクは何かを具体的に洗い出すことが第一歩です。
- 栽培している品目(畑作物か、酪農か、施設園芸か等)
- 圃場や施設の立地条件(災害リスクが高い場所か、等)
- 過去の災害や病虫害の経験
- 価格変動の影響を受けやすい品目か
- 経営規模や財務状況
これらの要素を総合的に評価し、どのリスクに対して重点的に備えるべきかを明確にしましょう。
2. 補償内容と範囲を確認する
次に、検討している保険がどのような損害を、どこまで補償してくれるのかを詳細に確認します。
- 補償対象(作物、家畜、施設、収入全体など)
- 対象となる災害や事故の種類(自然災害、価格低下、病気・ケガなど)
- 保険金が支払われる条件(損害の程度、免責金額など)
- 保険金の支払われ方(支払い限度額、計算方法など)
収入保険と農業共済では、補償の考え方や範囲が異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身のニーズに合っているかを見極めましょう。
3. 掛金と補償のバランスを考える
保険に加入するには、当然ながら掛金(保険料)の支払いが必要です。必要な補償を手厚くすれば、それだけ掛金も高くなる傾向があります。
- 無理のない範囲で支払える掛金か
- 掛金に対して、得られる補償(安心)は見合っているか
- 国の掛金補助がどの程度受けられるか
- 農業共済の場合、過去の損害実績に応じた掛金率の変動(危険段階別掛金率)も考慮
経営状況に合わせて、最適な補償レベルと掛金のバランスを見つけることが重要です。
4. 加入要件を確認する(青色申告など)
保険制度によっては、加入するための要件が定められています。
- 収入保険:原則として青色申告の実績が必要です。
- 農業共済:品目によっては、一定以上の耕作面積などの要件がある場合があります。
加入したい保険制度の要件を満たしているか、事前に確認しましょう。
5. 専門家に相談する
農業保険の制度は複雑な部分もあり、ご自身の経営に最適な選択をするのは簡単ではありません。そんな時は、NOSAIの職員や、地域のJA、そして私たちのような保険代理店の専門家に相談することをおすすめします。
客観的なアドバイスを受けながら、複数の選択肢を比較検討することで、より納得のいく保険選びが可能になります。
保険のえんどう(遠藤損害保険事務所)がお手伝いできること
私たち有限会社 遠藤損害保険事務所(保険のえんどう)は、帯広市と足寄町に拠点を置き、十勝の農業経営者の皆様を保険の面からサポートいたします。
- 公的保険と民間保険の組み合わせ提案: 収入保険や農業共済といった公的な制度を踏まえつつ、それを補完する民間の損害保険(賠償責任保険、傷害保険、火災保険など)を組み合わせることで、より包括的なリスク対策をご提案します。
- 事業継続計画(BCP)策定のサポート: 保険はリスク対策の一部です。災害などの緊急時に事業を継続・早期復旧するための計画(BCP)と合わせて保険を考えることで、より実効性のある備えが可能です。当社はBCP認定を受けており、その経験も踏まえてアドバイスいたします。
関連ブログ:事業継続力強化計画」の認定をされました。 - 地域密着の相談体制: 帯広・足寄の地域事情を理解したスタッフが、直接お話を伺い、お客様一人ひとりの経営状況に合わせた最適な保険プランをご提案します。もちろん、ご相談・お見積もりは無料です。
- 損害保険トータルプランナー在籍: 保険に関する高度な知識を持つ専門資格「損害保険トータルプランナー」が在籍しており、複雑な内容も分かりやすくご説明します。
関連ブログ:保険のプロ中のプロ「損害保険トータルプランナー」とは?
農業保険に関する疑問や、現在加入中の保険の見直しなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。
まとめ:農業保険で未来への備えを
帯広・十勝の豊かな大地で農業を営む経営者の皆様にとって、自然災害や価格変動といったリスクへの備えは、経営安定化のために不可欠です。国の公的な制度である収入保険や農業共済(NOSAI)は、そのための強力な支えとなります。
それぞれの制度の特徴を理解し、ご自身の経営リスクやニーズに合わせて最適な保険を選択することが重要です。
- 経営全体のリスク(価格変動含む)に備えたいなら収入保険(要青色申告)。
- 特定の作物・家畜・施設の災害リスクに備えたいなら農業共済(NOSAI)。
- 賠償責任や従業員のケガなどは民間の保険で補完。
保険選びに迷ったら、ぜひ専門家にご相談ください。私たち保険のえんどうは、地域の皆様が安心して農業経営を続けられるよう、保険を通じて全力でサポートさせていただきます。
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